恋するリスク
2つの足跡が作った、砂の道を見つめる。

さっきの言葉が、耳に残って離れない。

返す言葉に悩んでいる私に、「そんなわけで真剣です」と告げると、佐藤くんは笑って、再び砂浜を歩き出した。

時折、強い風が吹く。

夏は確実に近づいているけれど、夕方の風はまだ肌寒い。

「くしゅん!」

私は小さくくしゃみする。

買ってもらったばかりのワンピースは、半袖で、今の時期には少し早かったかもしれない。

半袖から伸びた腕を両手でさすっていると、肩に布の落ちる感触がした。


(え?)


驚いてその布に触れる。

見ると、佐藤くんは自分の着ていたシャツを、私にかけてくれていた。

「!!!!!い、いいよっ!大丈夫だよっ!!」

一瞬で、私の身体は上気する。

頬がこれ以上ないくらい火照り、心臓は壊れるように音を出す。

「オレので申し訳ないですけど。風邪ひいたら困るし。」

「で、でもっ・・・!」


(これは完全に、恋人同士のする行動だと思うんですけどっ!)


恥ずかしくて恥ずかしくて、かけてくれたシャツをキュッとつかむ。
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