恋するリスク
疑うような視線。

嘘をついてるわけじゃないのに、私は思わず口ごもる。

その時、ナースステーションから戻ってきた穂乃香は、西村先生と正面で向き合うように、私の隣へやってきた。

「本当ですよ。もう、お店も予約してあるし。」

途中から話を聞いていたらしく、すかさずフォローをしてくれる。

「相沢先生でも誘ったらどうですか?」

穂乃香が冷めた目で意見をすると、彼はさっと視線をそらす。

「・・・いや、あいつは今日、当直だし。」

「だったら、付き添ってあげればいいじゃないですか。

相沢先生、まだ一人じゃ当直不安でしょ?」

攻撃の止まらない穂乃香に、彼はふっと軽く笑う。

「はは、相変わらず柏木は会話のテンポがいいなー。

じゃあ、また今度誘うわ。じゃあな。」

そう言って右手を上げると、彼はそのまま医局の中へと消えて行った。
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