恋するリスク
「絶対女の敵だわ、あれ。」

穂乃香と2人、以前と同じバーのカウンターで、それぞれのカクテルグラスを揺らしながら話をしていた。

穂乃香は先ほどから、私を代弁するように、西村先生に対する愚痴のオンパレード。

「わざわざ相沢先生が当直の日に誘うなんて、鉢合わせしないようにしてるとしか思えない!

真緒が他の人に言ったりしないっていうのも、計算の上でしょう。

確実に、女の敵!!真緒、よく付き合ってたね。

私、絶対無理。」

「私だって今は無理だよ。恋は盲目っていうか。」

「相沢先生もかわいそうだよね。

本当に真緒のこと、知らないのかな。」

「うん・・・。そう思いたいけど。」

立場は違えど、西村先生に振り回されているのは同じなのだ。

彼のせいで私と相沢先生の関係まで悪くなるのは、悔しいし、正直、面倒だ。

「まあ、女の敵はさておきさ。佐藤くんとはどうなの?」

表情を明るいものに変え、穂乃香が私に問いかける。



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