恋するリスク
ストーリーはかなり切なくて、私も涙を流したけれど、劇場内のあちこちからも、ぐすんぐすんと鼻をすする音が聞こえていた。

私の、隣からも。

「・・・意外とよかったかも。」

「ふふ、でしょ?」

感想を言い合いながら、私たちはショッピングモール内にあるカフェに向かった。


「ここだっけ?真緒が食べたいって言ってたパンケーキ屋さん。」

飲食店が何軒か連なる通路に出ると、ハワイアンな雰囲気を醸しだしたカフェの前で、佐藤くんは立ち止まる。

「うん、ここ。・・・わ!おいしそう!!」

返事をするなり、私はショーケースにかぶりつく。

それを見て楽しそうに笑うと、「じゃ、入ろっか」と言って佐藤くんは店の中へと入って行った。

ハワイアンミュージックが流れる店内。

耳にハイビスカスを飾った店員の女の子が、蔓が巻かれた大きな木の横にある、白いテーブル席を勧めてくれた。

メニュー表を開き、佐藤くんは「うーん」と唸る。

「半分にしよう。」

「いや。一人で全部食べたいし。」

甘いものが苦手な佐藤くんは、どれもこれも生クリームやらアイスやら、トッピングだらけのパンケーキに注文を渋る。


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