恋するリスク
「・・・今日、泊まりに行こうかな。」

私がポツリと呟くと、彼はうれしそうに目を輝かせる。

「えっ!?マジで!?」

その瞬間、エレベーターが3階で止まった。

ドアが開くと、外科の先生たちがぞろぞろと中に乗り込んでくる。

顔見知りの先生がいたらしい佐藤くんは、一瞬でぱっと姿勢を正し、「おつかれさまです」と真面目な顔であいさつをした。


(ふふ、さすが営業マン!)


変わり身具合がかわいくて、私は小さく笑ってしまう。

そんな私に視線を向けると、彼はバツの悪そうな顔をした。


かっこよくてかわいくて、なによりとってもやさしくて。

私はこの人が、心から愛しくてたまらない。


先生たちに押されるように、壁際に寄り添っている私たち。

誰にも気づかれないように、私は彼の指先に触れた。

一瞬ピクリと動いた彼の指は、応えるようにすぐに私をつかまえる。

指先だけでも。

彼を感じると、私のココロはあっという間に満たされる。

1階に着き、先生たちが降りるのを見届けると、私たちは一緒にエレベーターの外に出た。




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