恋するリスク
それは、かわいらしいキャラクターがプリントされている、手のひら大のハンドタオル。

この子にとっては多分、とても大事なもののはず。

「・・・いいの?」

「うん。」

きっと、これはこの子なりの、精いっぱいの「ごめんなさい」。

いいのかな、と悩んだものの、そう思った私は、それを受け取ることにした。

「ありがとう。」

しゃがんでタオルを受け取ると、私はゴシゴシと首筋を拭いた。

「・・・うん!これでもう大丈夫。」

「・・・ほんと?」

「うん。もうほら、濡れてないし。」

そう言って首や肩を見せると、男の子はぱあっと笑顔になった。

「あ、あの・・・。」

戸惑ったままのお母さんが声を出す。

「本当に。これいただいちゃったし。これで十分ですよ。」

男の子とのやり取りですっかり和んだ私は、もう一度そう言い切った。

「本当に・・・申し訳ありません。」

しばらく考え込んで、迷いながらも納得したお母さんは、言いながら深く頭を下げる。

「ほら、もう一度!ちゃんと謝りなさい!」

「ごめんなさい・・・。」



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