いつでも一番星
「……ナツくん、あの子にだって優しい顔で笑いかけてたよ……」
ぽつり、と。投げやりにそんな言葉が自分の口から漏れていた。
ナツくんが時折見せてくれるあのやわらかな表情を初めて知った日から、とても特別なもののように感じていた。
てっきり自分の都合のいい思い込みかなって考えたりもしたけど、茉理ちゃんもナツくんのあの笑顔に特別な何かを感じとっていることを聞いて、些細な勇気を抱いたりもしていた。
だから同じことを言ってくれた横峰くんの言葉も、本当ならまた自信に繋がるような嬉しいものなんだけど……。
あの子の存在を知ってしまった今のわたしには、逆効果だ。
わたしは特別なんかじゃないよ……。
あの子に優しい瞳を向けて、気兼ねなく笑いかけていたあの笑顔の方が、よっぽど特別な意味を持っていそうだったから。
「あの子って……ああ、さっき一緒にいた佐伯ちゃんのことか」
わたしが示している存在が誰なのかすぐにわかったようでようで、横峰くんはするりとひとりの名前を出した。
ナツくんが“京香”と呼んでいた女の子を、どうやら横峰くんも知っているようだ。
それは横峰くん自身が彼女と知り合いだからなのか、それともいつしか名前まで覚えるほどナツくんのそばにいる存在だからなのか……。
「あの子のこと気になるみたいだな」
顔に出ていたのだろうか。横峰くんが問いかけるわけではなくそう言い切った。
誤魔化す必要もないだろうから小さく頷く。