恋愛遭難★恋は水もの〜パツンと教訓!〜
「課長じゃん」

画面に映っているのは、まさしく上野課長だった。


朝から何なの? と迷惑がりながらスッピンのまま玄関に出た。


「……」

無言で私を見るスーツ姿の課長。


「…おはようございます。課長」

「…山田?」

「はい?」

「山田なんだ? わかんなかったな。ははっ、上手いな。化粧」


ーーーはっ! スッピンだから私が一瞬誰だかわからなかったと、おっしゃりたいんだ?


「朝から失礼な事言わないでもらえます?」

開き直っていた。課長にスッピンを見せても問題ない。だって、上野課長に良く見られる必要ないから。


「褒めたんだけどな」

「どこがですか?」

「化粧が上手いなって」

「それ、褒めてませんよね?」

「いや、化粧すると別人になってたんだなって。化粧の威力を発揮出来る山田に感心してるんだ」

「別人みたいになってます? 大怪我だし、やっぱり褒めてませんよ?」

「褒めてる。別人にまでなれるほどの山田の手腕と、素顔の綺麗さを褒めてる。俺、山田の顔、スッピンのが好きだな」

勝手に玄関に入ってきた課長。
手を私の髪に伸ばした。
「なおしてやる。じっとしてろ」

髪に課長の指先が触れて手ぐしみたいに
動かしていく。

「スッピンの山田だと……俺、いけるかも」

「は?」

「山田がかわいいから……俺、ミイラになりそう」


ーーーそれって、ミイラとりがミイラになるって事?

髪に触れていた課長の指先が私の顎にうつってきた。
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