恋愛遭難★恋は水もの〜パツンと教訓!〜
「人の弱みに付け込んでキスとかやめてくださいね」
「付け込んでない。……そんなに嫌いか?」
大口をあけたまま、課長を見つめた。
「嫌いとか……とにかく! キスする理由が無いですから」
「どうしてだ? キスしたい訳ならある」
「訳ですか?」
「お前が可愛いから。ノーメイクなのに唇だけピンクでそそられるから」
ーーーそそられるからって? なに、それいやらしいじゃん!
かあっと火照る顔を見られたくなくて、課長の胸を両手でバンッて押した。
「……なんだ? お前のその反応」
「な、なんですか……」
「真っ赤で恥ずかしいみたいな反応って、若すぎるだろ」
ーーー年の話? はいはい、どうせ私は30歳ですよ。おばさんのくせにって言いたいの!
ムッとする私を課長が再び抱き寄せた。
「お前……俺を本気にする気か?」
「は? なに?」
「な、ユイカ。いい加減に俺に惚れろよ。惚れたって言えば?」
「課長、……怒ってないんですか? さっき私が言ったこと」
ーーー『好きじゃないので、全然、全く……絶対に惚れません! 絶対に』って、言ったこと、課長は何とも思わないのかな?
「あ? 全然。腹が最近調子悪くてな。怒ったんじゃなくて腹が痛くなっただけだ。 落ち着いたら、お前がいないから心配はしてた」
私の髪をゆっくりと撫でる課長。
ーーーなんなの? そんな風に優しい目をしてもダメなんだから!