恋愛遭難★恋は水もの〜パツンと教訓!〜

課長の上、天井に向かいもやっとしたものが登っていくのが見えていた。


ーーーあ! あれは、七郎……と、あれが奈緒さんかな?


黒い犬と奈緒さんらしき長い髪の清楚な美人が見えた。


ーーー笑ってる?


初めて見た奈緒さんは、笑っているようで、もやっとした煙になり天井に吸い込まれるように消えていった。


ーーー怖い霊では無かったけど、やはり怖い。


震える手で課長の肩に手を回した。小刻みに震える私にキスしながら、課長が微笑む。

「大丈夫だ。俺が今からたっぷり料理してやるから」

ゾゾっとした。

ーーー冴えてない。

相変わらずな上野課長のトリハダな台詞だった。

でも、心の中ではこの冴えない状況が嬉しかった。


不思議と開放的な気分になれている。


石みたいに固くなっていた自分の考え方を水のように柔軟に形を変えることに多少抵抗があったが、変えてみると案外……大丈夫そうだ。



まるで、苦労して山に登り、ようやく辿り着いた頂上についたみたいで。

景色も素晴らしいし、達成感が半端ない。両手を広げて深呼吸したい。そんな感じだった。


首すじに感じる課長の優しいキス。

トリハダになっていた皮膚と体が徐々に温まってゆく。

「なあ、まだ霊がいるかな? この部屋」

温まってきたし、盛り上がり気味の私に課長が盛り下がる話題を振ってきた。


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