恋愛遭難★恋は水もの〜パツンと教訓!〜
白桃缶の後ろにかがんでいると、そばを通るカラフルな自動車の形をした大きなカートに乗った男の子と目が合ってしまった。気まずさを隠して笑顔を見せると男の子は無表情で人差し指を鼻の中に入れた。


ーーーうわ、ここで鼻ほじる? お母さん、ちょっと注意してよ。見ててよね〜そのホジホジした指をどこにつけるかさぁ〜。


男の子は、ほじる指を止めて固まる。カートが白桃缶を積んだ棚にコツンと当たったからだった。

途端に崩れて床に落ちていく缶詰めたち。
ガシャガシャン!
ゴロゴロゴロッ……後は、転がる缶詰めを追いかけて捕まえる。

必死に追いかけて捕まえる作業をした私は、ようやく五個目の缶詰めをゲットして頭を上げた。

えっ! マジか!


目の前に上野課長がいた。

課長は、転がって来たらしい白桃の缶詰めを私に渡すと

「ドジだな」とだけ言い、どこかへ行ってしまった。


ーーー私が落としたんじゃないし! 私じゃ無くて、あの子供を乗せたカートが! あれ、いない?!

忽然といなくなったカラフル自動車カートの親子。そして、「ドジだな」とだけ言って消えた上野課長。


その場に残されたのは、拾い集めた白桃缶をカゴに入れた私。そして、拾った缶詰めを私に渡すおじいさんだけだった。


ーーー最悪〜!! 鼻ほじった指は、どうなったのさ〜〜!


心の中で叫んだ。
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