現代のシンデレラになる方法


すると、目の前には大海原が広がっていた。

海の水平線に沈んでいくオレンジ色の太陽が綺麗で見とれてしまう。


「わぁーっ、すごく綺麗!」


先生は私にこの景色を見せたかったんだ。


しかしそんな感動も束の間。

高度がピークにきていることに気付く。

急に現実に引き戻されてしまい思わず先生に抱きついてしまった。


「きゃ……っ」

「大丈夫か?」

そのまま抱きとめて心配してくれる先生。

「だ、大丈夫です」

「よしよし、よく頑張ったな」

そう言って、また私の頭を撫でてくれる。

「す、すいません、少しでも綺麗な景色が見れてとても嬉しかったです……っ」


ど、どうしよう、自分から抱きつくなんて、すごく恥ずかしいのに。

足がすくんで、怖くて先生から離れられない……っ


「たまには、これだけ積極的なひなたもいいな」

私は必死な思いでいるのに、先生はそう言って私の背中に腕を回して微笑む。


「先生……っ」

じっと助けを求めるように先生を見つめると、心配して笑いながら背中を撫でてくれた。


「悪い、悪い。大丈夫か?」

「だめです……っ」


正直にそう言った。

すると先生は私にそっと触れるだけのキスをした。

私の気を紛らわせようとしてくれているのか……。


「どう、まだ怖い?」

私は先生を見つめながら、その問いにゆっくり頷く。


まだ怖かったのは事実。

だけどそれ以上に、もっと先生とキスがしたかった。


その私の答えに、先生が微笑するとまた唇を塞がれる。



……恋をすると、どうしてこんなに欲深くなってしまったんだろう。


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