現代のシンデレラになる方法


えっと、あのー、と繰り返しながらようやく小さな声で言った。

聞いて耳を疑う。

「え、マジで?そんな遠いところから来てんの?電車は?」

「いや、電車は苦手で……」

あぁ、確かに苦手そうだ。

「だからってその距離を自転車でくるか普通」

「えっと……、朝のラッシュがどうもダメで……」

「なぁ、今度から車で送り迎えしてやろうか?俺の家からちょうど遠回りしないで寄れそうだし」

「い、いやっ!そ、そんな悪いです……っ!」

「まぁ仕事終わる時間バラバラだから、帰りは結局電車使ってもらうことになるけど。でも、朝のラッシュが苦手なだけなんだもんな?」

「そ、そんな先生に迷惑かけられません……っ」

「いや、これ位させてよ。弁当作るのだってタダじゃないんだし、大変だろ?」

「そ、そ、それは、私が勝手にやってることであって!せ、先生が気負う必要ありませんっ」

「じゃ俺も好きにさせてもらうよ。明日、8時半に迎えに行くから」

「だ、だめです、もう本当私なんてお気になさらず……っ!」

「別にいいよ、俺これ位しかできないし。家分からないから、明日はとりあえず最寄駅まで出て来てくれるか?」

その後も、え、え、でも、と俺に遠慮して断り続ける彼女。
そんな彼女に俺は、半ば強引に押し切ってしまった。




思えば、あの休憩室の茶菓子はあいつが作ったものだったんだろう。

事務科の仕事じゃないのに、あんな雑用押し付けられて。
面倒事なはずなのに、さっき休憩室を片付ける彼女からは嫌々やってるようには感じなかった。

そうだ普段の休憩室を思い返してみれば、彼女がどれだけ綺麗にしていたか分かる。

それなのに、茶菓子まで作ってきて、本当とんだお人好しというか……。


だからだろうか、つい手を差し伸べたくなってしまうのは。



















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