現代のシンデレラになる方法



「え、マジで?こんなのを?」

その瞬間、丁寧な敬語だったのに、雑な口調に変わる。

はぁ?、と思って、顔を見るとさっきの天使のような笑顔はどこへやら。

私を蔑むような目で見てきた。

「なんかぐちゃぐちゃになる以前に、もう色々下手くそだし。こんなの渡す前にここでおじゃんになって良かったな」

なんだこいつ。

超性格悪いんだけど。


なんでこんなに突っかかってくる訳?

お兄ちゃん大好きなブラコンとか?

お兄ちゃんに近づく女は皆、敵だみたいな。

それだったら、ちょっと可愛いかも。

なんて思ってたら、


「何その指の傷、もしかしてこれ作る時に切ったの?」

「しかも手作り弁当って中学生じゃあるまいし、いい大人が何やってんの?」

「30近い女が片思いこじらせるとこんな風になるんだな」

「おーこわ」

奴は嘲笑いながら、毒舌をまき散らした。


……前言撤回、全然可愛くない。

黙って聞いてりゃ調子に乗りやがって、浮きだった青筋がぴくぴくしてくる。


本当にあの東條先生の弟なの!?

私も口調を荒げて言い返した。

「ちょっと!なんであんたにそこまで言われなきゃいけない訳?」

「俺あいつ嫌いだし。だからあいつが好きなお前は敵みたいなもんだ」



嫌い?
東條先生が?

ブラコンなんじゃなかったの?


じゃなんであえて、お兄さんがいるうちの病院に来たのよ。

おかしな子。



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