現代のシンデレラになる方法

あの、残念な美人、西原の気持ちにさえ気づかない位なんだから。

相当いい女なんだろうと、探ろうとした時。

1人の看護師が、あれあれっとこっそり指を指した。


「ほらっ、事務長の後ろにいるあの大人しそうな子」

「地味ーな感じだったのに、急に雰囲気変わったよね」

「しっかし、あんな大人しそうな子がどうやって先生の気をひいたのか」

「だからお弁当ですよ」


また始まる女達の話。


俺はというと、

素朴過ぎる彼女を目にして、思わず笑いそうになる。


ははっ、マジで?

あんなんが良い訳?

兄貴、見る目なさすぎ。

俺の視線に気付いたのか、ちらっと彼女がこちらを見た。

俺はそのまま冷たい視線を向けると、逃げるように去って行く。


あの子を傷つけたら、兄貴は怒るかな、悲しむかな。

想像しただけでわくわくしてしまう。



俺があの時味わった絶望を、今度はあんたが味わう番だ。



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