現代のシンデレラになる方法
「昴先生」
私の姿に意表をつかれたのか、目を見開いて驚く昴。
「西原……っ」
「偶然ですね」
「あ、あぁ」
「良かったら、ご一緒させてもらってもよろしいですか?」
私は、理紗子さんと他の男性2人に声をかけた。
「もちろん、どうぞどうぞっ」
理紗子さんからの返事はなかったが、男性2人が喜んで私1人分の席を空けてくれた。
遠慮なくそこに座る。
理紗子さんが複雑な表情をしながら、昴に問う。
「綺麗な子ね、もしかして彼女?」
「いや……」
昴も私の突然の登場に未だ戸惑っているようだ。
「いやー、めっちゃ美人、スタイル良いねー」
「実はさ、さっきからちらちら見てたんだよなー。めっちゃ美人な子がいるって」
「ここのバーさ、周囲に有名企業がこぞってあるから、ほとんどそこに勤めてるエリート達ばっか来るんだけど、俺達だけじゃなくて皆君ばっかちらちら見てたからさ」
「気付かなかった?」
男性二人からまくしたてられ、頬を染めて照れたフリ。
「すいません、そういうの鈍いもので」
本当は気付いていた。
ちらちらあちこちから視線を向けられていたのは。
だけど、私は昴がこっちに気が付かないかだけが心配だった。
「しっかし、本当綺麗だなー。何か芸能関係者とか?」
「まさか」
「えー雑誌のモデルとかも、やってないの?」
「はい」
「うわーもったいねー」
「じゃ、どこかの会社の受付嬢とか?」
「いいえ、昴先生と一緒の病院で働いてる看護師です」
それまで男達にちやほやされる私に悔しそうにしていた理紗子さん。
しかし、看護師と聞いてちらりと横目で私を見ると勝ち誇ったような顔をした
「看護師さんのお給料でこんなお店来て大丈夫なの?」
理紗子の棘のある言葉にイラっとする。
「えぇ、ここのお店はちょっと私にはお高かくて。でも払ってくれそうな紳士がたくさんいるので、大丈夫です」
さらっと売り言葉を受け流す。
しかし、私に喧嘩売るなんて上等ね。
看護師ってね白衣の天使だとか優しいだとかそんなイメージもたれがちだけど、一見大人しそうに見えても、たいてい気が強くて負けず嫌いなの。
喧嘩売る相手間違えたわね。
昴が言ってやらないなら、私が変わりに言ってやるわよ。
そのプライドの高そうな鼻へし折ってやる。
さぁまずは、軽くジャブから行きましょうか?