現代のシンデレラになる方法



どうしよう……っ。

あの綺麗で有名な、
に、西原さんに買い物誘われちゃった!


でもどうしていきなり私なんか……?


待ち合わせ場所に着くと、そこにはすでに西原さんが待っていた。

あぁ、今日も眩しい位にお綺麗でいらっしゃる。

白い細身のパンツに紺色のトップス。

低めのヒールなのに、足が細長くて……。

それに比べて、ちんちくりんな私。

あぁ、こんな素敵なお姉さまが本当にどうして私なんかを誘ったんだろう。


促されるまま、シルバーの車に乗ると、運転席にいたのは……

な、なんと東條先生の弟さんっ。

会うのはあれ以来だったから、慌てて西原さんの方を見る。


「大丈夫、こいつもう何もしないから!」

動揺する私に気付いた西原さんが助手席から振り向くとそう言った。


「は、はい……え、と、こ、こんにちは」

おそるおそる、運転席に座る弟さんへ挨拶をする。

するとバックミラー越しに目が合った。

良かった、あの時のような怖い目じゃない。

ふっと少し緊張が解ける。


「……どうも」

弟さんも気まずいのか、ちょっとそっけない返事。


「彼にね、今日の運転係を頼んだの」

「電車で行けばいいだろうが。女の買い物の付き合い程めんどくさいものねぇよ」


すごくだるそうに言う弟さんに、西原さんが喝を入れる。


「だめよっ、いっぱい買い込む予定なんだから」

「あぁ、そうですか。しかし、すげぇな事務員も結構金もらってんだな」

「何言ってるのあなたのお金でに決まってるじゃない」


さらりと言った衝撃的な発言に、一瞬車内が静まり返るとやがて驚愕する。


「えぇっ!?」

思わず、2人揃って大声を出してしまう。


「いやいや、なんで俺が払わなきゃなんねぇんだ」

「そ、そうです、私自分で払いますので……っ」

2人で猛抗議するも西原さんには聞き入れられず。


「都内の小さな病院で当直やりまくって荒稼ぎしてるの知ってるんだからね」

そう言って何か企むように笑っている。


「大丈夫、大丈夫。若い女の子の服なんてね、あんたが買う服に比べたらやっすいんだから。でもいいもの1~2着は買ってもらいましょうねー」

「だからなんで俺が」

「そうです、だめです、絶対にだめです、そんなこと……っ」

「昴、これはね贖罪だと思いなさい」

ショクザイ……?

その言葉に納得したのか、弟さんが急に静かになる。

一体何のことだろうか。

私にも納得できるよう説明してください……っ。

それからの道中も私はどうしても納得できず、西原さんへ、だめです、だめですと言い続けた。





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