現代のシンデレラになる方法



そして着いたのは、とあるショッピングモール。

その中の、カジュアルなブランドの洋服店に入った。

無難な服を手頃な値段で買えることから、10代後半から20代の女子にはポピュラーなお店だ。


そこで昴さんは値札を見るなり、信じられないというような表情で呟いた。

「……本当だ、やっす」

それに、ほら言ったでしょという顔の西原さん。

「さ、好きなだけ選びなさい。お兄さんが買ってくれるからね」

「そんな……っ」

そんなこと言われて、

わーい、じゃあれとこれとそれ買って、なんて言える女の子も世の中にはいるんだろうけど。

わ、私にはとてもじゃないけど、無理だ……っ。


「あ、あの、本当に自分で払うので……」

私が困惑して、しどろもどろになっているのなんてお構いなし。

2人はそれぞれ、次から次へと洋服を選んでは私の体にあてていく。


「ねぇ、これとかどう?」

「いや、そしたらこっちだろ」

「そう?地味過ぎるわよ」

「あぁ?こいつがそんなふりふり着る訳ねぇだろ」

「そんなことないわよ、きっと似合うわ」


着る本人なんて、まるで蚊帳の外。


「あのー……、ちょっと、すいません」

「ねぇ、相澤さんはどっちがいいと思う?断然こっちでしょ?」

「いや、こっちだよな?」


2人にそれぞれ選んだ服を差し出され、戸惑う。

西原さんが持っているのはピンクがかったベージュ色のノースリーブで、袖口にはフリルがついている上品で可愛らしいもの。

昴さんが持っているのはカジュアルな水色のシャツ。


「あ、あのどっちもす、素敵だと……、でも、ちょっとノースリーブは……」

控え目にノースリーブは着れないと伝えようとするも、

「はいご購入っと」

言い終わらないうちに、カゴの中に入れられてしまった。



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