赤い電車のあなたへ
今まで異性について意識をしてきた経験が少ないわたしは、夏樹の行動がどういう意味か解らなかった。
思春期に入ると友達はいなかったし、クラスメート全てからいじめられてたから、そんな話はした事もなかったし。
マンガや小説も恋愛ものは読まなかったから、異性から抱きしめられる意味が理解不能で。
ただ、怒られている延長だと誤解してた。
わたしはひたすら体を震わせ、夏樹から何が来るかと怯え構えていた。
だから、夏樹がボソッと放った一言をより鋭く捉える。
「あいつより――のにな」
どうしてかギュッと心臓が掴まれた感じがした声音に、わたしは戸惑う。
あいつって誰のこと?
夏樹はいったい何を言っているの??
戸惑うわたしをそっと離した夏樹は、ぷいと顔を逸らしてぼそぼそ言う。
「……そんな格好でいると、知らない男からこんなことされるかもしれないだろ。もっと気をつけろよ」
こんな格好でと言われても。わたしは地元にいた時もこうだったけど。
「どうして?なにがいけないの?」
夏樹が機嫌が悪い理由がそのことかとホッとして、シャツの裾を引っ張りながら夏樹に訊ねた。