赤い電車のあなたへ



ところが。


夏樹の予想に反して、立野くんは参加を申し出た。


「僕も行くよ」


わたしやほたると違い、生まれも育ちも夏樹と同じ朝露の立野くんは言う。


「だいたい夏樹は鉄道に興味ないとか言ってたじゃないか。だからどれだけ詳しいか怪しいもんだよ」


というふうに夏樹のことを暴いた。


「立野!」


夏樹が咎めても、飄々とした立野くんは知らん顔。流石に赤ちゃん時代から夏樹と幼なじみなだけあるわ。


「いいじゃないか。ピクニックと思えばいいし、うちの農作業なら弟達が手伝うから構わない」


と4人兄弟の長男の余裕を見せた。


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