ご主人様に監禁されて
「もちろんお母様とお父様が戻ってくることはありません。
だからやめろとか綺麗事を言わないでくださいね。私の心は晴れるんですから、いいじゃないですか」
死んだ者達は帰ってこないのだから、復讐なんて悲しいだけじゃないか一一。
よくあるそんなセリフを天使のように微笑みながら、彼女は無情に否定した。
悲しいだけ、けれど、心は晴れる。
だからいいのだと、迷いなどなく言い放った。
「正直、メイちゃんのことは完全に計算外です。
だから踏み荒らされたくないというのが心情にないわけでもありません」
邪魔するなと言いたいのだ。
「でもまあ、あなたの大事な大事なメイちゃんが危ない時です。
ゆっくりなんてしないでしょうから、あなたはメイちゃんを探しててください」
「…かしこまりました」
言われなくてもするつもりだった。
「で、ええっと、野崎さん」
「は、はいっ」
「あなたにはお願いしたいことがあるのですが……」
「何でもおっしゃってください」
「このメモに書いてあるものを用意してください」
「わかりました」
野崎には命令があるのか、と少し嫉妬を覚えた。
「さて、あなたがたが知りたがってる10年前のことですが、協力して下さるようですし一一教えましょうか」
「リル」
止めるように名前を呼んだティンだったが。
「あら、心配してくれるんですか?」
微笑むだけで、効果はなかった。
「いえ、ききたくないのですね。ならば向こうにでも…」
「聞きたくもないし、言わせたくもない」
「ワガママですねえ」
「だから俺が言う、お前は向こうに」
「あなたが言うと支離滅裂になりますから」
「しり……?」
「元日本人でしょう、ティン…」
呆れながら、リルはティンを見つめて。
「大丈夫ですから、心配しないで」
出かけを心配する弟を笑ってなぐさめるように、リルは笑う。
そして微笑んだまま口を開いた。