Curses return upon the heads of those curse.
「しっかし……。相当な怨みだなぁ」

 少々呆れ気味に、木の上から女を見る。
 まだ二十歳にもならないだろうか、十分若いようだが、顔は怒りに歪んでいる。
 
 髪を振り乱し、一心に木槌を振るう姿は、僧正坊も引くほどだ。
 白装束は当然ながらずぶ濡れで、素肌が透けている。

 ふと、僧正坊は、女に打ち付けられている藁人形を見た。
 そして、おや? と首を捻る。

「……頭?」

 藁人形を打ち付ける者は、大抵人形の胴体に釘を打つ。
 が、今この女は、人形の頭に打ち込んでいるのだ。

「おっそろしや〜」

 ぶる、と身震いした途端、女が、キッと上を向いた。
 ぎょ、と固まった僧正坊と目が合う。

「……」

 しばしそのまま見つめ合う形になり、やがて僧正坊は、観念したように木から飛び降りた。
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