ベランダから見える星
「2人とも帰ろう。」


私はまってましたと言わんばかりに立ち上がった。


状況をあまり把握出来ていない千香は少し遅れて立ち上がる。


今日は一ノ宮拓也の横を通り過ぎる時にちゃんと『失礼します』と言っておいた。



「そろそろ帰ってこい。」


「勘弁。
 俺は兄貴とは違うから。」


拓海の顔にはやっぱり“憎しみ"が浮かんでいた。


後ろに目をやると一ノ宮拓也は言葉を無くして立ちすくんでいた。


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