躊躇いのキス
 
クリスマスが終わっても、バレンタインやホワイトデーまでイルミネーションをやっているところが多くて、
ここもその一つ。


だけど白と青のはずだったイルミネーションはピンクと白に変わっていて、バレンタイン仕様になっている。


「雅兄……?」

「22年も俺のこと好きだって言っておきながら、何勝手に諦めようとしてんの?」

「そ、れは雅兄がっ……」


そこまで言いかけたときに、雅兄が振り返った。

文句を言ってやろうと思ってたのに、その顔を見て、思わず言葉を失ってしまう。

雅兄の顔が、見たこともないほど、男の顔をしていたから……。


「おかげで、せっかくの計画がパーなんですけど」

「計画……?」

「……ったく…」


そして雅兄は、
持っていた紙袋に手をかける。


それは、今さっき買ったばかりの
エンゲージリングで……。
 
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