躊躇いのキス
「言っただろ。
逃がさないって」
「…っ」
手首を掴まれて、
金縛りにあわせるかのような瞳で見つめる。
やりきれない想いが涙となって零れ落ちて
雅兄はそれをクイと親指でぬぐうと、再びあたしの手を引いて歩き出した。
「ちょっ……どこ行くのっ!?」
「……」
引かれるまま、声をかけても返事は返ってこなくて
グイグイと引かれて歩かされる。
雪はもう結構降っていて、
地面に数センチ積もった雪をざくざくと踏みしめていく。
「雅兄っ……」
「途中で逃げんなよ」
「え?」
ようやく立ち止まって、雅兄が何かを言っている。
ふと気が付くと、目の前はイルミネーションが飾られている広場だった。