AfterStory~彼女と彼の話~
彰の後について駐車場に向かい、籠を後部座席に置いて、車は静かに発進した。

私の隣でハンドルを握る彰を、静かに見る。

「さっきからこっちを見てるけれど、どうした?」
「んー、私服姿の彰が珍しいなって」
「まぁ…、言われてみれば私服で運転するのは久しぶりすぎるな」
「うん、とても新鮮。交通課の同期も制服で運転するのが多いから、そっちが当たり前過ぎて私服姿なんて着るのが少ないって」
「確かに。俺ら刑事課なんてスーツだし、男だけで車で待機してる時はむさ苦しくて仕方ない」

折角の休日だけど、会話が警察の話題になるのはしょうがない。

共通の話題がこれだし、お互いの仕事のことを全部を言うわけじゃないけど、彰が警察の仕事に誇りを持って取り込んでいるのが話を聞いて分かると、私もめげずに頑張ろうって思えるから、話すのもいいかなって。

それに警察署の中だと2人でゆっくりと話すのも出来ないから、こういう休日は貴重だもの。

途中でお店に立ち寄って、レジャーシートと飲み物と軽食を買って、広場でのんびりすることにした。

私たちは彰と日陰になっている場所にレジャーシートを広げ、籠をゆっくりと降ろして、猫を外に出してみる。

「いつも部屋だから、今日はのんびりできるよ」
「にゃぁ」

猫も普段と違うのが分かっているみたいで、最初は警戒していたけれど、少しずつ私たちの周りを徘徊するようになってきた。

「お腹が空いたから、食べるか」
「うん」

レジャーシートに軽食を広げ、青空の元で食べるのって美味しいな。

事件もない休日なんて、いつぶりだろう。

「こうしてのんびりすると、次の日の仕事に行きたくないな」
「連休あるあるだよね」

休みを取れても1日か2日くらいだし、こうして過ごすのはあまりないから変な感じもするけれど、彰もリラックス出来てたら嬉しいな。
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