AfterStory~彼女と彼の話~
side九条麻衣
意識が戻り瞼を開けると海斗さんの姿は無くて、身体を起こすとまだだるさがある。
浴衣ではなく、お泊まりセットから服と下着を取り出して着替え、静かにドアを開けて廊下を歩き、海斗さんは何処だろうとキョロキョロしていたら、縁側の所で座りながら外を眺めている海斗さんがいた。
「起きたか」
「はい」
海斗さんも私服で、私は海斗さんの隣に座り、一緒に外を眺める。
まだ空は暗くて、ここから見える海の色は漆黒だ。
「無理させて、すまん」
「………」
私は無言で顔を左右に振る。
「最低だと思っていい」
「思っていないです」
「麻衣に触れたくて、抑えられなくて、嫌な抱き方をした」
海斗さんの方に顔を向けると、本人は瞼を閉じて、口がへの字になっている。
「私は海斗さんの温もりが好きで、大好きで、あんなに私を求めてくれているんだって、嬉しくて…」
視界が滲み、鼻を啜る。
「会えなかった寂しさが帳消しになりました」
海斗さんは瞼を開けて私との距離を詰めて、右腕を伸ばして抱き寄せ、私は海斗さんの肩にコテンと頭を乗せる。
「俺も帳消しになった」
「一緒ですね」
2人で笑い、空の色が徐々に明るい灰色になろうとしている。
「桜を見に行くから、羽織るものを用意して」
「こんな時間からですか?」
「今から出ないと間に合わん」
海斗さんに手を引かれて立ち上がり、部屋に戻って羽織るものを用意して家を出て、手を繋ぎながら歩くと、港に到着したのでもしかしてー…。
「俺の船に乗る」
海斗さんは一隻の船に先に乗って救命胴衣を私に渡し、私は気を付けて船に乗って救命胴衣を着用して、船が動き出した。
久しぶりに海斗さんの船に乗り、海の香りが懐かしい。
船が宇ノ島付近に近付いて、太陽が海面から昇り、綺麗な御来光に釘付けになる。
「麻衣、右側の宇ノ島を見ろ」
「わぁ…」
私の視界に入ってきたのは宇ノ島の姿だけど、桜が咲きほこっている部分があり、海から眺められるとは思わなくて、その姿に心が奪われる。
「これを見せたくて、船から見るのもいいだろう」
私の右隣に立つ海斗さんも一緒に桜を見あげている。
「陸から見るのもいいですが、海からっていうのが海斗さんらしくて嬉しいです」
「だろ?兄ちゃんは絶対にこんな事が出来ないだろって」
「ですね」
2人で手をギュッと握り、空の色が青くなり、ピンクと青の組み合わせの景色を2人でじっくりと見る。
「海斗さん」
「ん?」
「また来年、毎年この桜を、私がお婆ちゃんになっても見せて下さい」
「勿論だ」
顔を向かい合わせ、約束のキスをする。
唇が離れ、2人の間に桜の花びらが舞い降りて、私は掴もうとするけど、上手くいかない。
「不器用だな」
海斗さんがフッと笑うけど、笑い方が姫川編集長とそっくり。
「今、兄ちゃんと似てると思ったろ」
「はい」
「しようがないだろ、兄弟なんだから」
「ですね」
なんだかんだ海斗さんも姫川編集長の事は好きななんだなと思いながら、この景色を忘れないようスマホで沢山撮る。
「もう少し此処で…、また会えない分の寂しさを埋めさせてくれ」
「はい…、私も埋めたいです」
また会えない分の寂しさを埋めるために、抱き合って、唇を重ね、沢山の桜の花びらが私達にふりそそいだ。
麻衣✕海斗の場合Fin
2026/04/02
意識が戻り瞼を開けると海斗さんの姿は無くて、身体を起こすとまだだるさがある。
浴衣ではなく、お泊まりセットから服と下着を取り出して着替え、静かにドアを開けて廊下を歩き、海斗さんは何処だろうとキョロキョロしていたら、縁側の所で座りながら外を眺めている海斗さんがいた。
「起きたか」
「はい」
海斗さんも私服で、私は海斗さんの隣に座り、一緒に外を眺める。
まだ空は暗くて、ここから見える海の色は漆黒だ。
「無理させて、すまん」
「………」
私は無言で顔を左右に振る。
「最低だと思っていい」
「思っていないです」
「麻衣に触れたくて、抑えられなくて、嫌な抱き方をした」
海斗さんの方に顔を向けると、本人は瞼を閉じて、口がへの字になっている。
「私は海斗さんの温もりが好きで、大好きで、あんなに私を求めてくれているんだって、嬉しくて…」
視界が滲み、鼻を啜る。
「会えなかった寂しさが帳消しになりました」
海斗さんは瞼を開けて私との距離を詰めて、右腕を伸ばして抱き寄せ、私は海斗さんの肩にコテンと頭を乗せる。
「俺も帳消しになった」
「一緒ですね」
2人で笑い、空の色が徐々に明るい灰色になろうとしている。
「桜を見に行くから、羽織るものを用意して」
「こんな時間からですか?」
「今から出ないと間に合わん」
海斗さんに手を引かれて立ち上がり、部屋に戻って羽織るものを用意して家を出て、手を繋ぎながら歩くと、港に到着したのでもしかしてー…。
「俺の船に乗る」
海斗さんは一隻の船に先に乗って救命胴衣を私に渡し、私は気を付けて船に乗って救命胴衣を着用して、船が動き出した。
久しぶりに海斗さんの船に乗り、海の香りが懐かしい。
船が宇ノ島付近に近付いて、太陽が海面から昇り、綺麗な御来光に釘付けになる。
「麻衣、右側の宇ノ島を見ろ」
「わぁ…」
私の視界に入ってきたのは宇ノ島の姿だけど、桜が咲きほこっている部分があり、海から眺められるとは思わなくて、その姿に心が奪われる。
「これを見せたくて、船から見るのもいいだろう」
私の右隣に立つ海斗さんも一緒に桜を見あげている。
「陸から見るのもいいですが、海からっていうのが海斗さんらしくて嬉しいです」
「だろ?兄ちゃんは絶対にこんな事が出来ないだろって」
「ですね」
2人で手をギュッと握り、空の色が青くなり、ピンクと青の組み合わせの景色を2人でじっくりと見る。
「海斗さん」
「ん?」
「また来年、毎年この桜を、私がお婆ちゃんになっても見せて下さい」
「勿論だ」
顔を向かい合わせ、約束のキスをする。
唇が離れ、2人の間に桜の花びらが舞い降りて、私は掴もうとするけど、上手くいかない。
「不器用だな」
海斗さんがフッと笑うけど、笑い方が姫川編集長とそっくり。
「今、兄ちゃんと似てると思ったろ」
「はい」
「しようがないだろ、兄弟なんだから」
「ですね」
なんだかんだ海斗さんも姫川編集長の事は好きななんだなと思いながら、この景色を忘れないようスマホで沢山撮る。
「もう少し此処で…、また会えない分の寂しさを埋めさせてくれ」
「はい…、私も埋めたいです」
また会えない分の寂しさを埋めるために、抱き合って、唇を重ね、沢山の桜の花びらが私達にふりそそいだ。
麻衣✕海斗の場合Fin
2026/04/02