AfterStory~彼女と彼の話~
side宝条真琴
荒木さんに食べられた翌日、今日も編集部でノートパソコンを使って読者アンケートを入力する。
「お前は毎回小学生の感想文を書いてどうすんだよ!」
「小学生じゃないですし、立派な社会人です!」
タウン情報部から九条さんと姫川編集長のやり取りが続くのを聞きながら、黙々とキーボードを打っていると、編集部のドアが開いて取材から戻ってきた荒木さんが入ってきて、すたすたと自分の席に向かい、椅子に座るとバックからノートを取り出して鉛筆を走らせる。
私は先輩達から預かっていた下書きの紙束と、自分の宿題の紙束を持って荒木さんに近づく。
「取材、お疲れ様でした。荒木編集長がいない間にBの高橋先輩からと、こっちがAの野球側の下書きを預かっています。それと宿題のやり直しをしたので、確認をお願いします」
「分かった」
荒木さんは紙束を受け取るとノートを閉じ、鉛筆から赤ペンに持ちかえて、どんどん走らせ、私は自分の席に戻り、また読者アンケートの入力を続けると、編集部のドアが開いて高坂専務が入ってきて、荒木さんの所に来るとポンと肩を置いた。
「明日の花見はやっぱり来ないの?」
「しつこい男は嫌いなんだけど」
「うう、姫川〜、仁が冷たい」
荒木さんがバッサリと切るように言うと、高坂専務は姫川編集長に泣きつく。
「俺もサボる奴は嫌いだから、さっさと専務室に帰れ」
「分かったよ、戻りますぅ」
姫川編集長のとどめのひと言に高坂専務はとぼとぼと編集部を出て行くと、荒木さんが紙束を纏めて赤ペンをしまうとバックを持って席を立ち、中畑さんと私にそれぞれ紙束を差し出す。
「チェックが終わった」
「この後も取材ですか?」
「そう。その後は“大事な用事”があるから、ここには帰らない」
「分かりました。何かあれば連絡します」
「分かった。じゃあ、皆も残業は程々に」
荒木さんは中畑さんとやり取りを終えると編集部を出て行き、私は中畑さんと一緒に真っ赤になった紙束を確認して、どの順番でやるか話し合う。
「俺がこっちから清書をするから、宝条さんはこっちだね」
「分かりました!」
2人で清書をしようと紙束を黙読し、そうだ、私の宿題もどれ位の直しになるかな?と紙束を1枚1枚捲って、最後のページの黒ボールペンの文字に目が止まった。
『後1時間したら四つ葉を出て、スマホに連絡して
一緒に“花見”をしたい 仁』
荒木さんって花見なんて興味がなさそうだったのに…、速攻で清書をやろうと気合いをいれる。
「宝条さんってかなり気合いが入っているね」
「明日のお花見が楽しみなので、持ち越さないように進めます!」
私は中畑さんにガッツポーズを見せ、キーボードを打ち続けた。
集中して清書を打ち込み、私は荷物を纏めて四つ葉を出てスマホを取り出して、荒木さんに四つ葉を出たとメッセージを送ったら、すぐ既読になった。
『待ち合わせ場所の住所はここ』
送られた住所をスマホで調べると都内にある角井百貨店で、いったい此処でどんなお花見をするんだろう?とハテナマークが浮かびながら藍山駅から電車で向かい、駅を降りて人通りが多い中を歩き、荒木さんって人が多いのが苦手って言ってたよね?
私は角井百貨店に着くともう一度スマホで荒木さんに電話をかけると、2コールで繋がった。
「着きました!」
『この百貨店の6階にエレベーターで来て、俺はそこにいる』
「分かりました」
電話を終え、角井百貨店の中に入ってエレベーターで6階に上がり、目的の階数についてエレベーターを降りると、荒木さんがノートを広げながら通路の椅子に座っていたので近寄る。
「お待たせして、すいません」
「ノートを読んでいたし、大丈夫。こっちに行くよ」
荒木さんはノートをパタンと閉じてバックにしまい、立ち上がって私の右手を大きな左手で優しく握り、すたすたと歩く。
そしてピタッと立ち止まったら、私の方に顔を向けた。
「ここで“花見”をする」
荒木さんが指で指したのは金魚と桜の花びらが描かれた絵画で、その横に『アクアリウムと桜の饗宴をお楽しみ下さい→』と看板があり、その先は暗幕がある。
荒木さんは私の手を引いて中に入り、私は暗幕の先に見えた景色に目を見開いた。
荒木さんに食べられた翌日、今日も編集部でノートパソコンを使って読者アンケートを入力する。
「お前は毎回小学生の感想文を書いてどうすんだよ!」
「小学生じゃないですし、立派な社会人です!」
タウン情報部から九条さんと姫川編集長のやり取りが続くのを聞きながら、黙々とキーボードを打っていると、編集部のドアが開いて取材から戻ってきた荒木さんが入ってきて、すたすたと自分の席に向かい、椅子に座るとバックからノートを取り出して鉛筆を走らせる。
私は先輩達から預かっていた下書きの紙束と、自分の宿題の紙束を持って荒木さんに近づく。
「取材、お疲れ様でした。荒木編集長がいない間にBの高橋先輩からと、こっちがAの野球側の下書きを預かっています。それと宿題のやり直しをしたので、確認をお願いします」
「分かった」
荒木さんは紙束を受け取るとノートを閉じ、鉛筆から赤ペンに持ちかえて、どんどん走らせ、私は自分の席に戻り、また読者アンケートの入力を続けると、編集部のドアが開いて高坂専務が入ってきて、荒木さんの所に来るとポンと肩を置いた。
「明日の花見はやっぱり来ないの?」
「しつこい男は嫌いなんだけど」
「うう、姫川〜、仁が冷たい」
荒木さんがバッサリと切るように言うと、高坂専務は姫川編集長に泣きつく。
「俺もサボる奴は嫌いだから、さっさと専務室に帰れ」
「分かったよ、戻りますぅ」
姫川編集長のとどめのひと言に高坂専務はとぼとぼと編集部を出て行くと、荒木さんが紙束を纏めて赤ペンをしまうとバックを持って席を立ち、中畑さんと私にそれぞれ紙束を差し出す。
「チェックが終わった」
「この後も取材ですか?」
「そう。その後は“大事な用事”があるから、ここには帰らない」
「分かりました。何かあれば連絡します」
「分かった。じゃあ、皆も残業は程々に」
荒木さんは中畑さんとやり取りを終えると編集部を出て行き、私は中畑さんと一緒に真っ赤になった紙束を確認して、どの順番でやるか話し合う。
「俺がこっちから清書をするから、宝条さんはこっちだね」
「分かりました!」
2人で清書をしようと紙束を黙読し、そうだ、私の宿題もどれ位の直しになるかな?と紙束を1枚1枚捲って、最後のページの黒ボールペンの文字に目が止まった。
『後1時間したら四つ葉を出て、スマホに連絡して
一緒に“花見”をしたい 仁』
荒木さんって花見なんて興味がなさそうだったのに…、速攻で清書をやろうと気合いをいれる。
「宝条さんってかなり気合いが入っているね」
「明日のお花見が楽しみなので、持ち越さないように進めます!」
私は中畑さんにガッツポーズを見せ、キーボードを打ち続けた。
集中して清書を打ち込み、私は荷物を纏めて四つ葉を出てスマホを取り出して、荒木さんに四つ葉を出たとメッセージを送ったら、すぐ既読になった。
『待ち合わせ場所の住所はここ』
送られた住所をスマホで調べると都内にある角井百貨店で、いったい此処でどんなお花見をするんだろう?とハテナマークが浮かびながら藍山駅から電車で向かい、駅を降りて人通りが多い中を歩き、荒木さんって人が多いのが苦手って言ってたよね?
私は角井百貨店に着くともう一度スマホで荒木さんに電話をかけると、2コールで繋がった。
「着きました!」
『この百貨店の6階にエレベーターで来て、俺はそこにいる』
「分かりました」
電話を終え、角井百貨店の中に入ってエレベーターで6階に上がり、目的の階数についてエレベーターを降りると、荒木さんがノートを広げながら通路の椅子に座っていたので近寄る。
「お待たせして、すいません」
「ノートを読んでいたし、大丈夫。こっちに行くよ」
荒木さんはノートをパタンと閉じてバックにしまい、立ち上がって私の右手を大きな左手で優しく握り、すたすたと歩く。
そしてピタッと立ち止まったら、私の方に顔を向けた。
「ここで“花見”をする」
荒木さんが指で指したのは金魚と桜の花びらが描かれた絵画で、その横に『アクアリウムと桜の饗宴をお楽しみ下さい→』と看板があり、その先は暗幕がある。
荒木さんは私の手を引いて中に入り、私は暗幕の先に見えた景色に目を見開いた。