AfterStory~彼女と彼の話~
◆プロフィール帳に“恋人としたいこと”を書いてみた
side水瀬幸雄

冬に発売する“Clover”に向けて日々原稿の進行をしているけど、もっと読者に興味を持ってもらう記事はどうすればと悩みながら他社の雑誌を読む。

大手はモデルの起用も有名な人達ばかりだし、誌面に登場する服もアクセサリーも人気ブランドが入っているのが分かり、力の差を感じるけど、もっとファッションを楽しんで貰おうと部下が頑張ってくれているし、俺も引っ張っていかなきゃな。

「水瀬編集長、雑誌の後半に掲載したい記事で提案がありまして、一度読んでください」
「良いよ。いつも提案を出してくれてありがとう」

副編集長から声をかけられ、提案書を受け取って中身を確認する。

毎月モデルや芸能人、スポーツ選手が本人が好きなファッションを語ってもらい、誌面にも登場してコーデを披露してもらうページがあるんだけど、その記事の最後のページに、『プロフィール帳』という切り離して使える物をつけたいとのこと。

「プロフィール帳?」
「今SNSで流行っていて、片方は芸能人達、もう片方は自分のプロフィールを書いて保管ができるんです」
「こういうのって欲しいのかな?」

俺の言葉に、ファッション部にいる社員達が一斉に俺に顔を向ける。

「私、ティーン様と同級生だったら卒業式の時に欲しかったですよ!」
「横星君だったらどんな風に答えてくれるか、知りたいです!」
「俺だったらミリカのプロフィールを知りたいな」

社員達が続々と話始め、結構皆ってこういうのに興味があるんだ。

「サンプルを作ったんで、試してみます?」

副編集長がサンプルのプロフィール帳を見せてくれて項目を見ると、名前、生年月日、血液型、何処の部活に入っていたか、好きな食べ物…、最後は恋人としたいことか。

「他の部署にもサンプルを配っていまして、概ね好評でしたよ」
「え?他の部署にも配ったの?」

ファッション部だけかと思ったけど、他にも配ってたんだ。

「ええ。九条さんも『芸能人のプロフィールを知りたいのも良いけど、両方空白の物があればカップルで書けて良いかも』って。なので雑誌には誌面に出てくる芸能人用と、カップル用でつけたいです」
「成る程ねぇ。他の部署は何処に配ったの?」
「総務と経理、スポーツ部は新人の宝条さんが受け取って荒木編集長に見せてましたよ」

副編集長の答えに、ファッション部の女性社員達の目がキランとした。

「荒木編集長のプロフィール帳、知りたい!」
「一切明かされてない荒木編集長の好きな食べ物…、知りたいような知りたくないような」
「血液型占いとかで相性を知りたい」
「分かる〜」
「後で宝条さんに荒木編集長のプロフィール帳の反応について聞いてみる?」
「聞こうよ!コピーしてファッション部に永久保存したい」
「私も写メして保管しても良い?」
「私も撮りたい!」
「ほらほら、進行が進まないでしょ?」

盛り上がる女性社員達に仕事をするように促し、全く…、仁って女性社員達に人気だけど当の本人はこういうの嫌そうだな。

他の部署にも配っているし…、俺の恋人もこういうの書くのかな?そう思っていたら、編集部のドアがガチャっと開いた。
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