AfterStory~彼女と彼の話~
真剣に考え、あーでもないこーでもないと何度も書き直していると、三毛猫がにゃあとすり寄ってきたので、優しく抱き上げる。

「ねぇ、南山としたいことって何が良いかな?」
「にゃあ?」

私の質問に三毛猫は鳴くけれど、言葉は分かんないか。

「俺は今すぐ抱きしめたいけど」
「うわぁぁ」
「にゃー!」

急な声に思わず大声を出しちゃって、三毛猫も体をビクッとさせて私の手から離れちゃった。

いつの間に南山は帰ってきたんだろ、まだ動悸がする。

「び、びっくりした…」
「ただいまって言ったけど、玄関に来なかったから何をしてたんだろって思った」

南山は私の隣に座り、ローテーブルに置いてあるプロフィール帳に手を伸ばして、じぃっと読む。

「南山の先輩さんが雑誌の編集長をしてるって言ってたでしょ?よく読んだ事がなかったから買ったら、このプロフィール帳がついてたの」
「へぇ、こういうのがあるんだ」
「学生の頃は書かなかった?」
「ずっと私立でこういうの無かった学校だったな」

私達は警察学校で出会う前は別々の学校で過ごしていたから、南山の学生時代って全然知らないな。

「沙紀の学生時代って、女子校?」
「ううん、共学だよ。文化祭は友達と一緒にダンスを披露したり、体育祭は借り物競争とか男子が騎馬戦で盛り上がったり」

私は章に学生時代の思い出話をする。

「一緒の学校だったら良かったな」
「警察学校だとこういったイベントは経験出来ないよね。あ、そうだ!」

私はペンを取って、“恋人としたいこと”にさらさらと書いて、章に渡す。

「私が章としたいことは、“これ”だよ」
「………ありがとう」

章は書かれた事を読んで、章もペンを取ってさらさらと書いて私に返した。

「俺がしたいことは、“これ”」
「………喜んで!早速明日からやろうよ」
「ああ」

2人でギュッと抱きしめ、プロフィール帳がぱらっと床に落ちたけど、今は拾わずにこの温もりを感じたかった。


【恋人としたいこと】
彼氏:沙紀と一緒に同じ思い出を刻む。
彼女:章と一緒にい~っぱい思い出を作る!カメラでいっぱい撮る!それをアルバムを作る!お婆ちゃんになっても。


東雲沙紀✕南山章の場合
Fin
2026/05/05
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