AfterStory~彼女と彼の話~
side荒木仁

シェアハウスに帰ってきたのは夜9時で、玄関に真琴の靴があり、リビングかな?と思って覗くと大きなソファでシルバーのクッションを抱きかかえながら寝ている。

この姿を見るのも慣れてきたなと思いつつ、大きなソファの側に行き、バックはローテーブルの足元に置いて、ふとローテーブルの上に置いてある用紙に目がとまった。

確か四つ葉の昼休み辺りで真琴が俺に差し出したプロフィール帳ってやつか…、こんな個人情報を書いて交換するって楽しいのか?と思ったし、四つ葉の人に自分の事を知られたくないから、赤ペンで『絶対に教えない』って書いたな。

ん?よく見ると、俺が赤ペンで書いたプロフィール帳の彼女の欄にシャープペンで小さく書いてある文字に気づく。

「“したいこと”、か…」

小さく書いてある“したいこと”の文字をみて、俺はローテーブルの上にあるペンを持って、新しいプロフィール帳にさらさらと書いて、ペンを置いてキッチンに向かう。

コンロの下から小さい鍋を出して冷蔵庫から牛乳1本を取り出し、中身を全部鍋に注いで火を点火した。

沸々と小さい泡が出ているのを眺め、そろそろ出来るか?

「仁さん」

振り向くと真琴がプロフィール帳の紙を大事に持って立っていて、表情は嬉しそうに微笑んでいるので俺はバチっと火を止め、真琴の手を取って引き寄せて真琴をシンクの上に乗せた。

当の真琴はプロフィール帳を両手で顔の前に持ってきて、書いてある部分を俺の方に向ける。

「新しく書いて頂いて、ありがとうございます」
「真琴にだけ読んで欲しいから、皆には見せないで」
「勿論です。見せないですよ」
「真琴が“したいこと”、これで良いの?」
「これ“が”良いんです」

俺は真琴が書いた“恋人としたいこと”の文字を見て、それを実行する為に約束をせねば。

「明日、✕✕駅で待っていて」
「はい、待っています」
「約束のキス、しても良い?」
「はー…」

その先は俺の唇で塞ぎ、沢山の約束のキスをした。


【恋人としたいこと】
彼氏:一緒に帰ること
彼女:一緒に帰ること


宝条真琴✕荒木仁の場合
Fin
2026/05/05


それぞれの“したいこと”がありましたが、さて、その後のファッション部達の様子はどうなんでしょうか?
それはこのエピソードの最初の語り部の水瀬編集長目線でどうぞ!
< 188 / 189 >

この作品をシェア

pagetop