AfterStory~彼女と彼の話~
バスタブの広さは少し余裕があるくらいで、向き合っていると狭く感じたから、俺は足を広げてそこに美空を座らせて後ろから抱きしめる体制をとった。

「幸雄さんとこうしてお風呂に入るのは、初めてですね」
「うん。いつも別々にシャワーを浴びていたし、たまには良いでしょ?」
「はい……」

美空は俺に体を預け、チョコ風呂のお湯を両手ですくうとまじまじと見ている。

「本物のチョコみたいな色ですし、香りもすごいですよね」
「うん、本格的ぽいよね。あとさ、美空の肌は白いよね」
「そうですか?」

美空の肌は色白でチョコ風呂に浸かっているとより白さが目立っていて、俺はチョコの香りの甘さで徐々に本能のスイッチが入りそうになる。

「うん、白くてマシュマロみたいだ」
「んっ…」

美空の肩に唇を寄せてみると、チョコ味がする。

 (まずいな、スイッチが入りそうだ)

肩から首に、耳朶にと啄む音をだしながら美空の体を撫でていくと、美空はくすぐったさから体を捩ったりビクッと跳ねたりする。

「幸雄さん、待って」
「無理だ、待てない」
「やっ…、んっ…」

美空を食べるように唇を肌に這わしていくと、バスルームに美空の甘い声が響く。

俺は美空をバスタブの縁に両手をつかせるようにして、背中に沢山の愛の印を付けていった。

「あっ…、幸雄さ…」
「美空、美味しい」

チョコの香りによってスイッチが入ったのか、俺は美空の全身を味わうように唇を這わし、手を美空の敏感な部分を優しく撫でる。

「も…、駄目です」

バスタブの中にあるチョコのお湯は俺の手の動きに合わして音を出し、美空は意識が飛んでいきそうな表情をしていた。

このままだと逆上せてしまうから美空の手を取ってバスルームから出て、タオルで適当に拭いて、またベッドになだれ込む。

「幸雄さんの体からチョコの香りがします」
「そう?美空もだよ」
「私も?」
「うん。だから、もう一口、ちょうだい」
「んっ…」


チョコの香りが、俺たちの甘い一時を過ごすためのスイッチを押した。







愛のスイッチ、入りました









→次はおまけ
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