星空と君の手 【Ansyalシリーズ 託実編】
*
「託実、こんなところで眠って。
風邪ひくよ」
誰だ?
誰かが体を揺すってる。
「託実……?」
声がする方に誘われるように目を開けて
視線を映していく。
目の前に居たのは裕真兄。
「……ってか裕真兄、今、何時?」
裕真兄は腕時計をちらり見つめる。
「もうすぐ4時かな」
白衣姿の裕真兄は、
俺の問いかけにすぐに答える。
「そっか、なら一時間くらいは眠ったか」
そんな会話を交わしながら、
理佳が眠り続けてたベッドから体を起こす。
「託実は本当にわかりやすいね。
宗成叔父さんと薫子叔母さんがぼやいてたよ。
託実が最近、家に帰ってこないって」
「ったく、家に帰ってこないって
俺は何時までガキなんだよ。
今の俺には自分のマンションもあるってのに」
最強の両親思い出しながら、
前髪を掻き揚げる。
「まぁ、あの親ってそんなもんじゃない?」
そんなことを言いながら、
裕真兄も何かを思い出したかのように
小さく溜息を吐き出した。