星空と君の手 【Ansyalシリーズ 託実編】






「託実、こんなところで眠って。
 風邪ひくよ」



誰だ?



誰かが体を揺すってる。




「託実……?」



声がする方に誘われるように目を開けて
視線を映していく。


目の前に居たのは裕真兄。



「……ってか裕真兄、今、何時?」


裕真兄は腕時計をちらり見つめる。


「もうすぐ4時かな」


白衣姿の裕真兄は、
俺の問いかけにすぐに答える。


「そっか、なら一時間くらいは眠ったか」


そんな会話を交わしながら、
理佳が眠り続けてたベッドから体を起こす。


「託実は本当にわかりやすいね。

 宗成叔父さんと薫子叔母さんがぼやいてたよ。
 託実が最近、家に帰ってこないって」


「ったく、家に帰ってこないって
 俺は何時までガキなんだよ。

 今の俺には自分のマンションもあるってのに」



最強の両親思い出しながら、
前髪を掻き揚げる。



「まぁ、あの親ってそんなもんじゃない?」



そんなことを言いながら、
裕真兄も何かを思い出したかのように
小さく溜息を吐き出した。


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