星空と君の手 【Ansyalシリーズ 託実編】




プライベートが充実していると、
仕事にも身が入る。



そんなある日、十夜から電話で呼び出された。


指定された待ち合わせ場所である、
その瑠璃垣のホテルへと向かう。


そこには、瑠璃垣のトップとして振舞う
Ansyalの十夜とは別の顔をしたアイツが俺を迎え入れる。


「紀天、託実を別室に。
 東堂、何かあれば連絡を」

「かしこまりました」


十夜は年上の女性に声をかけると、
そのまま奥の部屋へと入室してドアを閉めた。


「紀天、あれ用意して。
 早速だけど、まずはこれを見てくれるか」


そう言ってモニターに映し出されたのは、
ネット上にでまわってしまったらしい、唯香ちゃんの個人情報。


「うちのセキュリティーに引っかかったものだから、
 プロバイダーに連絡して、すでにこの情報はネット上からは削除させた。
 最初にこれを見つけたのは、晃穂ちゃんでな」


モニターの電源を落としながら、十夜が俺にゆっくりと向き直る。


「晃穂がファンの嫌がらせで閉じ込められた事件も過去にあった。
 ファンサイドに匿名で流されたプライベート情報。
 唯ちゃんの自宅は、防犯は充実してないだろ。
 守るためには、雪貴のところに唯ちゃんがいるのが一番なんだけどな。

 時間が許す限りは、オレも様子は見ておくけど
 託実の方も、事務所に要請してくれ」
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