愛してるの伝え方
「わぁ、雅浴衣似合うね。可愛い!」
「ありがとうございます。藤岡さんの甚平も素敵ですよ」
屋台が近付くにつれて、どんどん人は増えていく。
今は前列と後列に分かれ、前列では瀬戸くんと橋本くんが話していた。
「…藤岡さん」
「ん?」
「瀬戸くん、怒ってると思いますか?」
「怒ってるって…もしかして、雅に?」
頷くと藤岡さんは笑い出した。
「な、なんで笑うんですか」
「やっぱ雅可愛いね。
瀬戸が雅に怒るわけないじゃん。
でも気になるなら、ちょっと声かけてみなよ。すぐ元に戻るよ?」
「そんなので戻りますかね?」
藤岡さんは背中を押してきた。元気づけるような、ポンポンじゃなくて、思いっきり。
私はその勢いで前によろめく。
そして、そのまま瀬戸くんの背中にぶつかってしまった。