愛してるの伝え方

「さて、何から回ろうか」

「そ、その前に休憩、いいですか?」

ゼエゼエと息が上がっている。
こっちは浴衣だし、そもそも体力が違うのだ。

「あ、そうだね。ちょっと端寄ろうか」

「すいません」

道の端の、人が少ない所に移動した。
疲れた。あんなに走らなくてもよかったんじゃなかろうか。

「お腹空いてる?」

「大丈夫です」

「そっか。じゃ、俺ちょっとたこ焼き買ってくるから待ってて」

「わかりました」

瀬戸くんはそう言って屋台の方へ向かっていった。

私は一人ベンチに座りながら息をつく。


瀬戸くんといるのは嫌いじゃない。あの過剰なスキンシップさえなければ、瀬戸くんは優しいし面白い人だ。

だけど、だからこそ私と二人でいたいという瀬戸くんの思惑がわからない。

一瞬恋愛感情かとも思ったけど思い直した。

瀬戸くんみたいにもてる人が私みたいなのにそんな感情を抱くわけがない。


考えても答えは出ないまま、瀬戸くんは戻ってきた。

たこ焼きを片手に嬉しそうに走る姿はまるで犬そのもの。

あんな大きな男子に抱く感情ではないかもしれないけれど、可愛いと思いかけた。

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