愛してるの伝え方
「花火大会にお一人様？
あ、もしかしてナンパ待ちだったり？
ないないー！ あんた鏡見たことあんの？」

「ウチらもう5回もされちゃった！
わけてあげようかー？」

あははと笑う。
花魁三人組は人を…というか、私を馬鹿にするのが好きなことは変わらないらしい。

「失敬ですね、鏡くらい見たことありますよ。
別にあなた達みたいに飢えてるわけでもありませんし、ついでに言わせてもらうと、お一人様でもないです」

いつもの無表情で返す。

この人達は中学の同級生。
関わるのは面倒だし苦手。
この人達と会うくらいなら、瀬戸くんと二人っきりでいる方が断然マシだとすら思う。

「で、用事がないのなら行ってもいいですか。
あなた達と一緒にいてあげるだけの良心も時間も、持ち合わせていませんので。
ちなみに元同級生として忠告しときますけど、その浴衣の着方、軽そうな頭がさらに軽く見えるのでやめといた方がいいと思います。では」

そう言って去ろうとすると、肩を掴まれた。
なんの文句があるというのか。

「調子乗るなよ、ブス！」

「調子になんて乗ってませんよ。私はいつも通り、事実を言ってるだけです。
大体、お互い嫌な思いするだけなのに何で絡んでくるんですか。やっぱり馬鹿なんですか」

「ほんっと、変わらないな！」

花魁組リーダーはそう言いながら私の頬を叩いた。
周りの人がざわざわしながら遠まきに見ているのがわかる。


一対三という構図。叩かれた私。
誰か助けに入ってもいいと思うんですけど。
…なんて淡い期待は一瞬で捨て去った。

そんな人がいるのなら、私の中学時代はもう少しだけ明るかったはずだから。

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