愛してるの伝え方
「ちょっと待ちなさいよ!」

リーダー格の…リナ、だっけ。
とりあえずその人が呼び止めてきた。

「まだ、何か用事ですか」

何度呼び止めたら気が済むのか。
私は心から面倒な気持ちを込めて返事をした。

「一緒に回ろうよ! 久しぶりに会ったんだし!」

リナさんは必死だ。
それほどまでに瀬戸くんといたいのだろう。

一緒に回るなんて正直、絶対、心底嫌だけど、無下に断るのも可哀想だと思ってしまった。

…あ、そうか。返事は瀬戸くんに任せればいいのか。
瀬戸くんが一緒に回りたいのなら、私は我慢しよう。

「瀬戸くんはどうしたいですか?」

「俺はね、ミヤちゃんと二人で回りたいの。だから、悪いけど一緒には回れない」

瀬戸くんはきっぱりそう言って、私の浴衣の袖を掴んで歩き出す。

その場に残された花魁三人組は、やっぱり、呆然と立ち尽くしていた。

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