愛してるの伝え方
「瀬戸くん」
「……」
瀬戸くんは振り返ることもなく進み続ける。
黙ったまま。私の袖を引いて。
私の歩幅に合わせてくれているのは彼の優しさなのだろう。
ピタリと、急に止まった。
「…ミヤちゃん。ごめんね」
そう言いながら振り向いた瀬戸くんは、困ったように笑っていて。
……謝られるようなことあったっけ?
「中学の友達でしょ?
俺、勝手に断わっちゃった」
「…あぁ。あの人達のことですか。
構わないですよ、全然。むしろ断わってくれて感謝してます」
「本当に? 怒ってない?
いつもの優しさじゃなくて?」
「本当です。
……たいして仲良くなかったんで」
むしろ悪かった。そう思ったけど、彼女たちを紹介するのも面倒だし、伏せておいた。
「私も…はぐれてしまって、すいませんでした。いつもはほとんど一人なので、誰かと歩くのは慣れないんです」
「別にいいよ。どこにいたって探し出してみせるしね!」
「こんな人混みで探し出すなんて無謀過ぎません?」
「大丈夫大丈夫。
…ただ、やっぱり心配するから、あんまりはぐれないでほしいけど」
彼はそう言いながら私の頭をポンポンと撫でた。