世界一遠距離恋愛
「おっ、おいおい、泣くなよ!?」
「あーっ!透が絵里子泣かせた!」
「ちげーって!…いや、そうなのか!?ごめんな絵里子!?」
「いやいや…嬉しくってさ…。」
「透、絵里子昨夜あんたが目覚めるのずっと公園で待ってたんだって。…ずーっと泣いてたんだって。」
お兄ちゃん…花奏に余計な事教えたな?家に帰ったら許さないんだから!
「公園って…お前、もしかしてあそこにずっと?」
「うっ…うん。いつものベンチに座って。」
「寒かっただろ?風邪引いてないか?」
透くんったら…さっきからあたしの心配ばかりで。余程透くんの体調の方が心配なのに。
「じゃあ…私、少し出掛けてくるね。そうだなぁ…一時間後くらいにお迎え来るので良いかな?絵里子。」
花奏はそう言うと荷物をまとめて立ち上がった。
「うんっ!分かった!」
「そしたら帰りにご飯でも食べに行こっか♪」
「うわーいっ!行く行く!」
「ちょっ、俺も!」
「あんたは大人しく入院!じゃあねっ!」
花奏が病室を出て行き、あたしと透くんは二人きりになる。…実は今日、お見舞いに行きたいと花奏に言った時に「私、用事があるから絵里子を病院に送ったら少し出掛けるね。」と言われた時に決心した。花奏がいない二人きりの時間、告白しよう、って。…でもどうすれば…急にかしこまって真面目な話するなんて恥ずかしい!それに…もしも透くんの気持ちが変わって、病院に入院している可愛い女の子なんかに恋してあたしの事なんかもう何とも思ってないなんて言われたら…その後すごく気まずい関係になりそう。それが…怖い。
「屋上行こうぜ!絵里子!」
一歩踏み出す勇気が出ないあたしに、透くんは笑顔でそう言った。
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