無理して笑うな

『ん〜、恥ずかしいので内緒です。』




唯がおどけたように笑顔になる。




『内緒ですか〜。気になりますね〜』




アナウンサーがニコニコしている。



それに応えるように唯も笑った。



俺はその笑顔に違和感があった。




「…?」




おかしい。



何と言われれば答えられないが、笑顔になんとなく違和感を感じる。




「お兄ちゃん?どうかしたの?」




「いや…」




俺は瑞希の答えに首を振るがテレビから目を話せない。




『今日のラストです。BlueSkyのみなさんで今月1番のヒット曲です。どうぞ。』




アナウンサーの一言で歌が始まる。



昨日と同じ歌なのでセンターはもちろん唯だ。



しかし、その姿に昨日見たときは感じない違和感を感じる。




「瑞希、これって生放送だよな?」




「うん。この番組は1ヶ月に1回必ず生放送があるの。」




俺はそれを聞いてすぐに携帯に手をのばしていた。



気まずいなんて言葉は



今の俺にはなかった。




< 34 / 135 >

この作品をシェア

pagetop