無理して笑うな
『ん〜、恥ずかしいので内緒です。』
唯がおどけたように笑顔になる。
『内緒ですか〜。気になりますね〜』
アナウンサーがニコニコしている。
それに応えるように唯も笑った。
俺はその笑顔に違和感があった。
「…?」
おかしい。
何と言われれば答えられないが、笑顔になんとなく違和感を感じる。
「お兄ちゃん?どうかしたの?」
「いや…」
俺は瑞希の答えに首を振るがテレビから目を話せない。
『今日のラストです。BlueSkyのみなさんで今月1番のヒット曲です。どうぞ。』
アナウンサーの一言で歌が始まる。
昨日と同じ歌なのでセンターはもちろん唯だ。
しかし、その姿に昨日見たときは感じない違和感を感じる。
「瑞希、これって生放送だよな?」
「うん。この番組は1ヶ月に1回必ず生放送があるの。」
俺はそれを聞いてすぐに携帯に手をのばしていた。
気まずいなんて言葉は
今の俺にはなかった。