無理して笑うな
斗真は楽屋の仮眠用に用意されたベッドにあたしをそっと下ろした。
「じゃあ、俺達は他の人達に挨拶してくるから。1人で大丈夫?」
視界が戻ってきたあたしは頷いた。
「ごめんね。よろしく。」
「もちろんよ!すぐに帰ってくるからね?」
亜依の心配そうな顔を見てあたしは精一杯笑ってみせた。
4人が出て行ってすぐに携帯の着信音がなった。
そのときのあたしには
誰からなんて確かめる気力はなかったんだ
「はい。」
携帯を取って座り直したあたしの耳に懐かしい声が聞こえた
『唯!?やっと出てくれた…』
あたしはその声を聞いて心の底から後悔した
「…ゆう…と…」
しかし不思議と電話を切ろうとは思わなかった。
思考回路が停止していたのかもしれない
『無理してる』
「…え?」
『無理してるだろ?さっきの生放送見た。
無理して笑ってるように見えたから。踊ってるときも。』
…バレた
おかしいな
誰にも気づかれないように笑っていることには自信があるのに