♡短編恋愛集♡
 この日はこれ以上のことは何もなかった。あの後、結局二人でベッドで寝て。腕枕をしてあげて。ちょっと刈上げた部分がジョリジョリして。ミクは僕の伸びた髭が痛いといって。

 僕達は付き合うことにした。

 今思えば僕に送り狼になるような機会を与えたマスターを「大人だ・・・」だなんて妙に感心してみたり・・・。
 そうだ。
 泊めてもらった次の朝、彼女・・・ミクの名前を漢字でどう書くか聞いたんだ。
「未だ紅くならずで未紅。熟れてないから酸っぱいよ?」
 こんな風に自分の名前を表現できるってちょっとスゴイ。
 今までの彼女のなかでもピカイチ変わってる。ユニークだ。
 そういえばマスターの心理テストで『内装は私が可愛くして』なんて言ってたっけ。
 僕は未紅に可愛くされてしまうんだろうか?
 ・・・妄想するだけでも恥ずかしいっ。あぁんな風とかこぉんな風にされてしまうのか?    
 いや・・・それもまたいいかも。

 彼女は例えるなら青りんごだ。
 熟れてない振りして本当は美味しいに違いない。
 でも、木からもがれたくないから酸っぱい振りをしてる。
 でも僕は騙されないよ?
 いつかキミをもぎ取ってみせる。

 
 (終)

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