♡短編恋愛集♡
ここで女の武器を使うのかっ?
「お母さん言ってた。『男の人には独りの時間が必要なんだよ』って。『それは美咲のことが嫌いなんぢゃないよ』って」
瞳はうるうるしてるが、泣いてない。
泣くの我慢してるのか?
「『しつこくしちゃ駄目よ』って。でもね、私、素直にお母さんの言うこと信じれなくって。でもね、分かったの。ヒロキは独りの時間が欲しいんだよね?」
「え、まぁそうだな。うん」
「ぢゃぁ、今日は帰るから・・・・・だから、お願い・・・・・」
ダムの決壊が切れたように、美咲の眼から涙が溢れ出してきた。
「キライにならないでぇ~えぇ~ん」
ちょっと・・・ボーゼン。
いつもなら、ドアを開けて彼女が出て行ったらそれで終わりだった。
こんなふうに自分の気持ちをちゃんと話してくれる女の子はいなかった。
きっと今まで苦しい思いを沢山したんだろうな、なんて思ったら美咲のことがいとおしくなった。
美咲をそっと抱き寄せると頭をよしよしって撫でてあげた。
「大丈夫だよ、キライになんてならないよ」
そう言ったら、美咲はさらに大きな声で泣いた。

付き合った子がいっつもベタベタくっついてくるのは浮気防止のためだとばっかり思ってた。
そういう風に思っていたから、ただうっとおしくって邪魔なだけだと。
俺は疑われてるのかと。
美咲は・・・俺に安らぎを求めて毎日のように通ってきてたんだ。
俺はその価値に値する男だってことか・・・?

ひとしきり泣いたら美咲は約束通り帰っていった。
そしたら、酷く・・・・・・
恋しくなった。


《終》
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