誘導
「本気で異性を好きになった事が無いから、分かんないんだよな。もしかしたら、本気で女を好きになれないのかもしれないし。」
「それは無いんじゃないかな。」
「まぁ、そうだろうけど…。」
誠は言葉を詰まらせ、口ごもりながら言った。
「だから、本気で好きになれるような女と出会いたい。溺れるような恋がしたいんだ。」
「ふーん。でもさ、直感的な恋も大切だと思うぜ。それから相手の事を知っていけばいいだろ。」
「直感的で恋をするのが一番嫌いなんだよ。知り合って一週間とかで付き合う奴とかいるけど、俺は嫌だね。」
誠は不快そうに、嫌味の篭った口調で言った。それが伊月にはオーバーリアクションの様に感じられた。一目惚れに対して、そこまで毛嫌いする理由は何なのか、伊月には理解が出来なかった。
「それに、今知り合いの女の中で魅力を感じるような奴はいないな。」
「そっかぁ…。そんな風に恋を捉えた事はないからなぁ…。」
「変か?」
「ちょっとね。」
誠の話は、人並みに恋愛を経験した事がある伊月には浮世離れな話に感じた。そういえば確かに、誠が誰かと付き合ったという話は噂ですら聞いた事が無かった。
一目惚れの話が終わると、店は少しずつ忙しくなっていった。こんな夜中でもポテトの大盛りや、ビールをオーダーする客は意外と多いものだ。中には居酒屋並に注文してくるグループもいる。特に今日は厄介なグループが居た。二十代後半から四十代半ば位の年齢幅の、サラリーマンであろう七人組の客の一人が悪酔いをして伊月に絡んできた。他のメンバーは面白がって見ているだけだった。そのグループに一曲歌わされた後は普段よりも数倍、身体が重くて疲れた。
「大変そうだったな。」
ジョッキにビールを注いでいた伊月に、にやにやと笑いを浮かべた誠が囁くように言った。
「勘弁して欲しいぜ。ただでさえ人見知りなのに。」
誠が話を掛けてくれたおかげで緊張が解れたのか、伊月もつられて締まり無く笑った。
「それは無いんじゃないかな。」
「まぁ、そうだろうけど…。」
誠は言葉を詰まらせ、口ごもりながら言った。
「だから、本気で好きになれるような女と出会いたい。溺れるような恋がしたいんだ。」
「ふーん。でもさ、直感的な恋も大切だと思うぜ。それから相手の事を知っていけばいいだろ。」
「直感的で恋をするのが一番嫌いなんだよ。知り合って一週間とかで付き合う奴とかいるけど、俺は嫌だね。」
誠は不快そうに、嫌味の篭った口調で言った。それが伊月にはオーバーリアクションの様に感じられた。一目惚れに対して、そこまで毛嫌いする理由は何なのか、伊月には理解が出来なかった。
「それに、今知り合いの女の中で魅力を感じるような奴はいないな。」
「そっかぁ…。そんな風に恋を捉えた事はないからなぁ…。」
「変か?」
「ちょっとね。」
誠の話は、人並みに恋愛を経験した事がある伊月には浮世離れな話に感じた。そういえば確かに、誠が誰かと付き合ったという話は噂ですら聞いた事が無かった。
一目惚れの話が終わると、店は少しずつ忙しくなっていった。こんな夜中でもポテトの大盛りや、ビールをオーダーする客は意外と多いものだ。中には居酒屋並に注文してくるグループもいる。特に今日は厄介なグループが居た。二十代後半から四十代半ば位の年齢幅の、サラリーマンであろう七人組の客の一人が悪酔いをして伊月に絡んできた。他のメンバーは面白がって見ているだけだった。そのグループに一曲歌わされた後は普段よりも数倍、身体が重くて疲れた。
「大変そうだったな。」
ジョッキにビールを注いでいた伊月に、にやにやと笑いを浮かべた誠が囁くように言った。
「勘弁して欲しいぜ。ただでさえ人見知りなのに。」
誠が話を掛けてくれたおかげで緊張が解れたのか、伊月もつられて締まり無く笑った。