Wonderful DaysⅢ【berry’s cafeバージョン】




これを飲まされたら、完全に終わりだ。

迫ってくる指先を滲む視界の中で凝視しながら、なんとか回避する方法を考えるけれど、もはや逃げ場なんてなくて。

それでも。

ここで諦めてしまうのは、魁さんにもう一度会うことを諦めるのと同じことだから。

最後の最後まで抵抗してやろうと


「いっ……!!」


渾身の力を込めて、暁さんの指先に思いっきり噛み付いてやった。


「なっ、なにやってんだ、このアマっ!!」


それを見て焦る背後の男に鎖を引っ張られても


「…っ……ふざけんなっ! 離せよっ!!」


痛がる彼女に何度顔を殴られたって……


───絶対に、口を開けてなんてやるもんかっ!


決して離すまいと奥歯を噛み締めている間にも、暁さんの指と一緒に入ってしまったMと呼ばれた薬の苦味が口の中に広がってくる。



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