Wonderful DaysⅢ【berry’s cafeバージョン】
【第8章】

新学期

◇◆◇◆◇◆◇◆◇


「ありがとう……で、結局デートは何処に行って来たの?」


新学期初日。

始業式も終えて帰宅途中、綾ちゃんに買ってきたお土産を手渡したら興味津々で尋ねられた。


「箱根だよ」


デートどころか、二泊三日のお泊まり旅行になっちゃったけど。


「箱根…?」


「うん」


でも、あえてそれは言わない。

綾ちゃんの追及が怖いから。


「……………………」


「綾ちゃん?」


何で無言?


「……遊園地じゃなかったのね」


そういえば、綾ちゃんのデートの予想は遊園地だったっけ。


「まぁ、あの男が遊園地って無理があるわよね。ジェットコースターに乗って騒いでる姿なんて想像できないし。高校生がデートコースに箱根をチョイスするのもどうかと思うけど……」


そう言って、お土産を鞄にしまうと


「どうだったの?」


私の反応を探るように覗き込んでくる。

どうだったって……


「猛禽類……」


「は? 猛禽類?」


「じゃなくて、楽しかったよ! とっても」


思わず、夢に出てきた綾ちゃんの言葉をそのまま呟いてしまい、慌てて言い直す。




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