Wonderful DaysⅢ【berry’s cafeバージョン】


「箱根をデートコースに選んでくれたのも、私が食べたいって言ってたアップルパイを食べさせてくれる為だったし」




「……アップルパイ? アップルパイを食べる為に箱根まで行ったの? あの男が!?」




箱根をデートコースにしてくれた理由を伝えたら、なぜか思いっ切り驚かれた。




「う、うん」




「女に話し掛けられても表情一つ変えずに無視してたあの男が、自分の婚約者の為にアップルパイ食べに箱根……」




ブツブツと何かを呟いた後




「私の知ってるあの男とのギャップが凄過ぎて、想像もできないんだけど……」




足を止めて、じっと私を見つめる。




「ギャップ?」




眉間に皺を寄せたまま動かない綾ちゃんは




「……まぁ確かに、マリアには態度が違うものね」




しばらくして、納得したように頷いた。




「そうかな?」




「全っ然、違うわよ!!」




力説する綾ちゃんにたじろぎながら、思い返してみたけれど。




……あれ?



そういえば、魁が女の人と話している所を見たことがないような……



それ以前に、女の人と一緒にいる場面を見たことがない。


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