Wonderful DaysⅢ【berry’s cafeバージョン】
「いってきます!」
玄関先で元気よく挨拶をすれば
「……いってらっしゃいませ」
「気をつけて行くんだよ」
納得のいかない表情で頭を下げるランスロットさんと、笑顔で手を振ってくれる修さん。
「はーい」
二人に返事をして、久しぶりの学校へと足早に向かう。
「あぁ、もう。ランスロットさんのせいで遅刻しそうだよ……」
朝食を摂りながら行われた遣り取りに文句を言いたくなる。
自分で行くから大丈夫だと言っているのに、「学校まで、お送り致します」としつこく食い下がるランスロットさん。
マーク兄さんに口すっぱく言われているのかもしれないけれど、その申し出は断固拒否した。
……だって、あの人も間違いなく絶対に目立つ!!
容姿もさることながら、あの服装……。
この日本で、普段から燕尾服を着ている人なんて絶対にいないと思う。
悪目立ちしたくなくて変装までしているのに、それが全て無駄になるのだけは避けたい私。
「はぁ……、なんでこんな事になっちゃったんだろう」
数日前の出来事を思い出して、溜め息が出た。