氷と魔女《specialstory 完結》
その時の事を、思い出しながらため息をつき、リビングに入る。








けど、目の前には信じがたい光景があった。


「お母さん……お父、さん……?」



目の前には、血の池を作りながら倒れている両親がいた。




「お母さん!お父さん!どうしたの⁉︎」


私は、2人に駆け寄った。
混乱の中、冷静になれと自分に言う。

冷静になんてなれるか!
って感じだけど。

まずお母さんの手首に自分の手を置く。

「ウソ………」

お母さんはもう、死んでいた。

なんで…なんで…?


「うっ……千草……」


けど、隣にいたお父さんから、震える声が聞こえた。




「お父さん!何があったの⁉︎
今すぐ治癒魔法を……」

私が両手をかざし、神級魔法を使う。

「ヒーリング・サークル・スラーディア」


私の手から、溢れんばかりの純白の光が出て、お父さんを包む…

はずだった。


純白の光は、お父さんを包んだ瞬間、弾かれて消えてしまった。


「なんで……なんで⁉︎
治癒魔法は、これが最高なはず…!」

慌てる私。

その私に向かって、お父さんは残りの力を振り絞って言った。



「だ…め、だ……」

「なんで⁉︎
なんで、ダメなの⁉︎
まさか…『禁断の魔法』を……⁉︎」


「あぁ………治癒魔法は……きか、ない。

おか…あさんと、お……とうさんを殺したのは……

魔界の、政府だ……」


ゲフッ


お父さんが、血を吐いた。


「魔界の政府⁉︎
なんで、こんな事を…!」


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